<研究課題 概要>

研究課題: 愛知県における結節性硬化症の疫学研究

研究の趣旨:

結節性硬化症は神経系、皮膚、腎、肺など多臓器に影響を及ぼす遺伝性疾患で、多科が連携しての診療が必要です。近年、一部の医療機関では”TSC board”と呼ばれる結節性硬化症を多科で診療できるネットワークの構築が進んできていますが、TSC boardをもつ医療機関とそうでない医療機関との間に診療体制の格差も生じてきています。このため、受診する医療機関にかかわらず標準化された治療を受けられるよう、医療機関間の診療ネットワークを構築することが重要と考えられます。そのために、まず地域における患者数、合併症、診療状況などの疫学的事項を把握することが必要となります。

国内外から報告されている結節性硬化症の疫学研究は、結節性硬化症を重点的に診療している専門施設からのものが多く、所見や症状の詳細な検討ができている一方で、症状の重い患者さんに偏っていて結節性硬化症患者さんの全体像を正確に反映していない可能性もあります。全体像把握のためには医療機関の規模や密度が様々な広い地域を網羅的にカバーした疫学研究が望まれますが、愛知県は大都市から人口の少ない郊外、山間部、沿岸部まで幅広い地域を含んでおり、結節性硬化症の全体像を把握するための疫学的、社会的研究を行うのに適した地域といえます。

この研究で得られる結果から、結節性硬化症診療に必要な医療体制が明らかとなり治療の標準化につながると考えられるほか、愛知県のみならず国内他地域における結節性硬化症診療ネットワーク構築につながるものと予想しています。

研究の目的:

愛知県全域における結節性硬化症患者さんの臨床情報を調査し、難治性てんかんや知的障害などの合併症の頻度に加え、結節性硬化症患者さんをめぐる診療状況、社会的状況などを明らかにすることを目的としています。

研究の方法:

①愛知県内の四大学医学部附属病院および愛知県内を網羅する総合病院、療育施設、約100施設に一次調査票を配布し、2013年から2018年までに受診している結節性硬化症患者の患者数の回答をお願いします。
②一次調査で結節性硬化症患者ありと回答した施設に二次調査票を配布し、合併症、診療状況等について回答していただきます。また匿名化された頭部・胸腹部のMRI/CT画像をCDでお送りいただき、名古屋大学において画像所見の評価を行います。
③二次調査の結果から結節性硬化症の有病率、年齢別患者数、難治性てんかんや知的障害など合併症の頻度、治療状況を明らかにし、また結節性硬化症患者を持つ患者の受診病院や診療科の現状、社会的状況について明らかにします。
※既存のデータのみを対象とする研究であり、新たな検査を行っていただく必要はありません。

研究機関:

<主たる研究機関>
名古屋大学大学院医学系研究科
小児科学、障害児(者)医療学寄附講座、精神科学、脳神経外科学、脳神経内科学、呼吸器内科学、泌尿器科学

<共同研究機関>
名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児・小児医学分野
愛知医科大学 小児科
藤田医科大学 小児科
名古屋市立西部医療センター 小児科

<試料・情報の提供のみを行う機関>
名古屋市北部地域療育センター 愛知県青い鳥医療療育センター 名古屋第一赤十字病院 名古屋掖済会病院
たわだリハビリクリニック 南部地域療育センターそよ風 JCHO中京病院 国家公務員共済組合連合会名城病院
国立病院機構名古屋医療センター 名古屋市立東部医療センター 聖霊病院 名古屋第二赤十字病院
名古屋記念病院 JA愛知厚生連渥美病院 豊橋市こども発達センター 豊橋市民病院
豊川市民病院 愛知県三河青い鳥医療療育センター 岡崎市民病院 JA愛知厚生連安城更生病院
刈谷豊田総合病院 JA愛知厚生連知多厚生病院 JA愛知厚生連豊田厚生病院 豊田市こども発達センター
トヨタ記念病院 あいち小児保健医療総合センター 春日井市民病院 愛知県医療療育総合センター中央病院
JA愛知厚生連江南厚生病院 一宮西病院 総合大雄会病院 一宮市立市民病院
津島市民病院 JA愛知厚生連海南病院 聖隷浜松病院

連絡先:

研究代表者
名古屋大学大学院医学系研究科 障害児(者)医療学寄附講座 教授 夏目 淳
〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞65
TEL: 052-744-2294
FAX: 052-744-2974
Email: junnatsu@med.nagoya-u.ac.jp(@を半角@に変えて送信してください)

各大学研究担当者
愛知医科大学: 沼本 真吾
名古屋市立大学: 服部 文子、小林 悟
名古屋大学: 夏目 淳、牧 祐輝
藤田保健衛生大学: 石丸 聡一郎






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